「やぶきた」「はるみどり」…杉本園製茶が扱う東京狭山茶の「品種」ガイド

古くから「味の良いお茶」として親しまれてきた狭山茶。寒い冬を越えることで茶葉に蓄えられる重厚なコクは、他の産地にはない魅力です。

しかし、一言で「狭山茶」と言っても、実はお米やワインのように様々な「品種」が存在することをご存知でしょうか?

私たち杉本園製茶では、それぞれの茶葉が持つ個性を最大限に引き出すため、品種ごとの特徴を大切にしたお茶づくり(シングルオリジン)を行っています。今回は、杉本園製茶が自信を持ってお届けする不動の定番「やぶきた」と、近年人気急上昇中の「はるみどり」について、その違いや楽しみ方を詳しく解説します。

お茶にも「シングルオリジン」の波が来ています

これまで日本茶の多くは、年間を通して安定した味を提供するために、複数の品種や産地の茶葉をブレンドする「合組(ごうぐみ)」が一般的でした。

一方で、近年注目されているのが、単一の品種のみで仕上げる「シングルオリジン」です。
※シングルオリジンとは・・・ブレンドせず、単一の品種・単一の農園のみで作られたもの

  • 品種特有の香りや甘み
  • その年の気候による味の変化
  • 杉本園製茶の畑ごとの個性

これらをダイレクトに感じられるのが品種茶の魅力です。「今日はスッキリしたいから『やぶきた』」「甘いものが欲しいから『はるみどり』」といったように、その日の気分でお茶を選ぶスタイルを提案します。

不動のセンター、王道のバランス「やぶきた」

特徴:爽やかな香り・程よい渋み・甘みの黄金比

日本茶といえば「やぶきた」。国内で最も多く栽培されている品種ですが、杉本園製茶のやぶきたは一味違います。

肉厚な狭山の茶葉を、杉本園製茶独自の「濃い味わい」で仕上げることで、やぶきた本来の優等生的なバランスの良さに加え、「火香(ひか)」と呼ばれる香ばしさと、喉の奥に残る強いコクを引き出しています。

  • 味わい: 飲んだ瞬間に広がる清涼感と、後からくる確かな旨味。「これぞ日本茶」という安心感があります。
  • 水色(お茶の色): 透明感のある黄金色(山吹色)。
  • おすすめシーン: 食中・食後の一杯、和菓子とのペアリング、毎日の定番として。
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極上の甘みと彩り、期待のエース「はるみどり

特徴:鮮やかな緑色、渋みが少なく濃厚な旨味

「はるみどり」は、「やぶきた」と、ミルキーな香りをもつ「かなやみどり」を掛け合わせて生まれた品種です。うま味成分であるアミノ酸の含有量が豊富であり、渋味成分であるタンニンは少ないお茶です。

この品種の最大の魅力は、なんといっても「渋みの少なさ」と「圧倒的な甘み」にあります。

日本茶の渋みが苦手な方でも「これなら美味しく飲める!」と驚かれることが多く、まるで出汁(だし)のように濃厚な旨味を感じることができます。

  • 味わい: 口に含んだ瞬間、とろりとした甘みと旨味が広がります。苦味・渋味はほとんど感じません。
  • 水色(お茶の色): 非常に鮮やかなエメラルドグリーン。目でも楽しめるお茶です。
  • 杉本園製茶のこだわり: 「はるみどり」は葉が柔らかく繊細なため、火入れには熟練の技が必要です。色と甘みを損なわないよう、丁寧に仕上げています。
  • おすすめシーン: リラックスタイム、お客様へのおもてなし、渋いお茶が苦手な方への贈り物。

あなたに合うのはどっち? 品種比較まとめ

杉本園製茶で扱う2大品種の特徴を比較してみました。

特徴やぶきた (Yabukita)はるみどり (Harumidori)
甘み・旨味★★★★☆★★★★★ (濃厚)
渋み・苦味★★★☆☆ (程よい)★☆☆☆☆ (少ない)
香り爽やか・香ばしい穏やか・甘い香り
水色(色)黃緑色〜黄金色鮮やかな緑色
一言で言うと「安心の王道バランス」「甘み特化の極上品」

「キレとコクを楽しみたい方」にはやぶきた、「まろやかな甘さを楽しみたい方」にははるみどりがおすすめです。

プロが教える、品種をより美味しく楽しむ「湯温」のコツ

品種の個性を引き出す鍵は「お湯の温度」にあります。ここを意識するだけで、味の解像度がぐっと上がります。

「やぶきた」の場合:80℃前後

熱めのお湯で淹れると「香り」と「適度な渋み(カテキン)」が立ち、シャキッとした味わいになります。少し冷ますと甘みが顔を出します。

はるみどり」の場合:60℃〜70℃(少しぬるめ)

ここがポイントです!「はるみどり」の持ち味である濃厚な旨味成分(テアニン)は、ぬるめのお湯でじっくり淹れることで最大限に引き出されます。

熱湯で淹れてしまうと、せっかくの甘みよりも先に渋みが出てしまったり、繊細な風味が飛んでしまったりすることがあります。

「いつもより少しじっくり、ぬるめで」。これを守るだけで、驚くほど甘いお茶になります。

飲み比べで知る、狭山茶の奥深さ

シャキッと爽やかな「やぶきた」と、とろりと甘い「はるみどり」。

同じ杉本園製茶の畑で育ったお茶でも、品種が違うだけで全く異なる表情を見せてくれます。

ぜひ、ご自宅でこの2つを飲み比べてみてください。「今日のお茶はどっちにしようかな?」と選ぶ楽しみが、あなたのティータイムをより豊かにしてくれるはずです。